アイ・アム・レジェンド
【感想・ネタバレ】
今まで読んだフィクションの中でベストに近い位置にあるリチャード・マシスン作SF伝奇ホラー小説「地球最後の男」の映画化3回目作品。ちなみに今回の映画のタイトルの方が原題であり(原作小説)作品のテーマとも密接に関わっていたりする。
作品自体は最初の導入からエンディングまで非常に良く作りこまれている。
しかし、人類が滅びていく過程を最後の伝説の男(だったはず)である主人公に集約させるという方向ではなく憎悪のみで迫り来るダークシーカーとともに殉死する殉教者として描いたこと、唐突な偶然を必然にして安直に人類を脅威から救い出してしまったこと、ダークシーカーそのものを知性はあるが分かり合えない野獣として徹底的に対立する構造をとってしまったこと(しかもそれは原作と違い最後まで解消されない)(*)、俺はここに9・11以降のハリウッド作品の限界を感じた。体感したと言っても良い。
人類(ここでは「我がアメリカ」のメタファー)が滅び行くことは許されない、断固として脅威と叩きそれを打ち砕くのだというインディペンデンスデイ(*2)では能天気にエンタテインメントとして展開されていたテーマが9・11を経て時間がたった今、より深刻な影響を映画の中にまで及ぼしている。
この作品がアカデミー作品賞を取るようなことがあればただでさえ死にかけているハリウッドは完全に死んだと思って良い。そう言えば脚本家のストが起こっていたはずだが彼らにとっては自分たちの頭を冷やす良い機会なのではないか。自分たちが映画という娯楽の中で死に向かわないために必死で9・11の呪縛から脱出する方法を考えた方が良いだろう。
そういう意味では記念碑的な作品であるかもしれないな。
(*)観ていれば分かるがダークシーカーは9・11以後におけるテロリストの暗喩である。原作は主人公がそう思っていたと言う展開で進むが後半に大どんでん返しが待っているのだった。
(*2)この作品でエイリアンを素手で殴り殺す陽気なヤンキー米兵を演じたウィル・スミスがアイ・アム~で主役を張っているのも何かの符号に見えたりするのだった。
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