得るものと失うもの
ふと自分語りがしてみたくなったので書いてみる。
小説を読むにしろ漫画を見るにしろ音楽を聴くにしろ映画を鑑賞するにしろ、エンタテインメントを楽しむときに自分が何に感動(*)しているのかということを後から考えたりするのだけれど、物心付いて何十年かぼちぼちと考えつけてみるにどうも作品の中の「得るものと失うもの」のバランスを感じ取っているのではないかと気がついた。
例えば高畑勲監督の「火垂るの墓」という作品があるのだが、これには大きく心を揺り動かされた。プロット好きな私にとっては戦災孤児が飢えて死んでいくというあまりにも短い一言で書き表せてしまうストーリーそのものには正直何の興味も覚えなかったのだけれど、実際に映画を見たときには涙してしまった。でもこの涙はただ可哀想だとか悲惨だ悲劇だということに対して涙したわけではなく、”兄弟の絆”という絶対のものを得(てい)た主人公達がその絶対的なものに囚われていたが故に”生(命)”を失っていくという世の中でもっとも当たり前に起こっている人間として得たり失ったりする営みをアニメーションと言う形で記号(ビジュアル)化して見せられたことにショックを受けたことからだった。(なので野坂昭如の原作ではこのショックは無かった)
これ以降、何かを楽しんで心動かされたときにはどういうバランスでその部分を見ているかということをより突き詰めて考えるのだけれど、プロットの好みを考えなければ私にとっては「得るものより失うものの方が大き」かったり「すべてを、またはほとんどを失った状態に差し込む一条の光」があったりする作品に対してより心動かされるのだと言うことにさらに気がついた。自分の中ではエンタテインメントを楽しむ際に幸福より不幸の総量が大きい方を好むのだということなんだと思っている。単純なハッピーエンドがきらいなのもその所為だろう。
で、こういうことを書いて実は何を言いたいかというとここに書いている感想や書評は根っ子でそういう観点から書いていると言うことを書きたかっただけだったりする。少ないながらも読んでいただいている方への補足という事で。
(*)ここでいう感動は”面白い感動した”というレベルではなくもっと激しく心が揺り動かされている状態のこと
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